駅・学校・公民館・文化センター・教習所や飛行機の中にまでAEDがあります(注意:AEDは航空会社が乗客の安全のために、公共の場としての飛行機内に初めて設置したのち、世界中に広まりました)。これと同じことが人工呼吸器でも起ころうとしています。題して「街角の人工呼吸器」。どのような装置なのでしょうか。

りょう
街角の人工呼吸器ってなんだ?

心肺蘇生法

心臓や呼吸が止まってしまった人を救うための心肺蘇生法は、消防や病院の講習会で学ぶことができます。その講習で学ぶ心肺蘇生法とAED(体外式除細動器)を使って救命することを「一次救命処置」といいます。一次救命処置は、「病院に行ってやってもらう」とか「お医者さんにお任せしないとなにかあったらどうするの」というような生易しいものではありません。そこにいるあなたが助けないと、その人は死んでしまいます。

心肺蘇生法
  • 日本医師会の心肺蘇生法はココ
  • 日本赤十字社の心肺蘇生法はココ
  • 東京消防庁の心肺蘇生法はココ

あたかも3つ、心肺蘇生法があるようなリスト(↑)にしましたが、全部見ていただくとわかります。すべて、同じです。正しいやり方は、これらリンク先でていねいに解説してありますので、どうぞご覧になってください。この心肺蘇生法の中で、覚えておいてほしい点(私が新たに気付いた点)を3つ挙げてみます。話はここから始まります。

心肺蘇生法で覚えておいてほしい点

りょう
3つあります

私が新たに気づいた点はこの3つです。

心肺蘇生法
  • 感染を防止する(人工呼吸用マウスピースがあれば使う)
  • 胸骨圧迫の後、できれば人工呼吸を2回行う
  • 判断に迷う場合は胸骨圧迫(のみ)を開始

あとは、AEDが届いた時点で、早めにAEDのパッドを貼って、ショックボタンを押すだけです。もちろん、救急隊へ連絡しておいてください。

りょう
AEDは取り扱いが簡単ですが、心理的ハードルが高いのが現状です。いざというときに使えるよう講習会を受講しましょう。

感染を防止する方法についてですが、新型コロナウィルス感染症によって、心肺蘇生法の中で注意する点が少しだけ変わっていますね(人工呼吸用のマウスピースは、AEDの中に入っていることがあります。AEDのケースを探してみてください)。

感染を防止する

感染防止
  • 自分のマスクがあれば着用する
  • 倒れている人の顔と手当を行う人の顔が近づきすぎないよう注意(呼吸の確認のときなど)
  • 胸とお腹の動きを見て呼吸を確認する
  • 倒れている人の口・鼻に、布・タオル・マスクなどがあればかぶせる
  • 複数で対応しているのであれば一人は部屋の窓を開け・室内の換気をする

そこまでするのか、という気もしますが、要するに救助する人も、危険ではあるということです。その証拠に、このようなことも指導されます。

倒れている人が大人の場合:胸骨圧迫のみを行い、人工呼吸は行わない

りょう
感染対策はいつの時代でも大切です。他人を救助する人は、できるだけのことをして自分の身も守りましょう。

人工呼吸(マウスツーマウス)を無理に行わない理由

人工呼吸を無理に行わない理由は、感染のリスクを避けるためだと思われます(上記リンク先には理由まで書いてなかった)。この心肺蘇生法は5年に1度見直しされていらっしゃるようで、

応急手当の方法は、さまざまな研究や検証を重ね、原則5年に1度、より良い方法へ改正されています。新たな応急手当の方法は、それまでの方法を否定するものではありません。大切なことは、目の前に倒れている人を救うために「自分ができることを行う」ことです。緊急の事態に遭遇したときに適切な応急手当ができるように、日頃から応急手当を学び、身につけておきましょう。

東京消防庁「心肺蘇生の手順」

さまざまな研究や検証に基づいて、この方法がベストとして提案してくださっています。ということは、マウスツーマウスの人工呼吸は、ひょっとしたら「がんばってやってみてもらっていたけど、大きな成果にはならないかもしれない」ということで、一部、割愛されたのかもしれません。

このようなことも書かれてあります。

りょう
マウスツーマウスの人工呼吸よりも血流再開が優先されています
人工呼吸をしない場合
  • 人工呼吸の方法を訓練していない場合
  • 人工呼吸用マウスピース等がない場合
  • 血液や嘔吐物などにより感染危険がある場合                   

このような時は、「人工呼吸を行わず、胸骨圧迫続ける」とあります。人工呼吸は意外と難しいのかもしれません。

りょう
人工呼吸のトレーニングを受けていない場合、人工呼吸は推奨されていないです

人工呼吸を自動で開始するペーシング装置

心肺蘇生時の人工呼吸を装置で行うという開発プロジェクトがあります。一つの方法として考えられているのが体表電極を用いた「フレニックナーブ・ペーシング法」です。言ってみれば「横隔神経刺激法」と言えばいいのでしょうか。体表から横隔神経をペーシングする方法で、首の特定部位にペーシング用パッド電極を貼りつけて電気刺激します。ペーシングにより横隔膜の挙上と弛緩が行われ、胸骨圧迫と同時に息を継続させることができます。

蘇生率をあげるために、AEDは心拍の再開という重要な役割を果たしています。人工呼吸を行うこの装置は、心拍が再開されるそれまでの間、血液中の酸素濃度を高める役目を行います(蘇生率がホントに上がるのかどうかの結論はまだ出ていません)。将来像はAEDと人工呼吸を行う装置の一体型を目指しているようです。

りょう
AEDと一体型になっていると利便性が増します

まとめ|街角のAEDが命を救うという初夢

医療機器の開発は、新しいアイデアと技術的な課題だけではなく、エビデンス(効能効果のことか)が必要になります。心肺蘇生の現場に一次救命処置を行える人が少ないときや、感染対策を優先する場合、呼吸サポートよりも心拍の再開が優先されます。街角の人工呼吸器が命を救うようになったら、私が中学生のときから恥ずかしくてできなかったマウスツーマウスが、今度こそホントに不要となるのかもしれませんね。

りょう
それじゃまた、バイバイ
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