「それがひどいことになったのよ」と、最初は奥様から電話があったのではなくて、私からそんなことも知らず何の気なしに電話したのでした。そのときに偶然、予想外の出来事が起きていたことを知ったのです。ご家族にとっては、酔っぱらってのことだから、本人が希望しないからとか、いろいろ理由をつけて詳しいことは誰にも話さないようにしていたそうです。私も、駅の階段から落ちたということしか教えてもらっていません。

なつ
それが、ひどいことになったのよぉ

単身赴任の時に知り合った方が脊髄損傷に、そして人工呼吸器も

なつ
パンジーって、ホントはとっても育てやすいの

私は関東地方に住んでいます。単身赴任の時代があって、その当時は土日にその方のご自宅へ行って花つくりを手伝っていた。その方はもともと国家公務員で、お仕事は調達係だったと聞いたことがあります。定年退職後に趣味の園芸を始めて、近所の道の駅へ出品していたそうです。花は主にパンジー。私の作業は種から発芽したパンジーをポットに移植する作業でした。

飼い犬のピンちゃんとの散歩

なつ
ピンちゃんはコギー犬なんだって

そこには飼い犬がいて、名前は「ピンちゃん」でした。私は作業の終わった夕方にその犬:ピンちゃんと散歩するのを楽しみにしていました。ピンちゃんは独自の散歩コースを自信たっぷりの足取りで小走りに駆けていきます。その生命感にあふれる姿とともにいるのは心地よかったです。リードに引っ張られながら側溝に落ちないようついていくだけの自分。私との散歩に慣れたピンちゃんは、あるとき自宅を通り過ぎて2周目の散歩に入ろうとしました。さすがに私もこのままじゃだめだなと思いました。伝わらない気持ち。「自分、疲れてるんだよ、ピンちゃん」

コギーのピンちゃん、かしこい

なつ
お散歩コースを2周目でやっと気づいたの

それで飼い主さんに相談しました。飼い主さんから言われたのは「そこは曲がらなくちゃいけないよ」「そこもまっすぐいったの?」でした。飼い主のときとまるで違うコースをピンちゃんが連れまわしてくれていたことが分かりました。さすがコギー犬。かしこいです。そんな思い出から数年たって、コギーのピンちゃんも、ネコの十兵衛とトラジを追うようにして虹の橋を渡っていったそうです。それは知り合いの旦那さんが自宅から100kmくらい離れた駅の階段から転落するという事件があってしばらくしてのことでした。

脊髄損傷で緊急搬送されて人工呼吸器を装着

なつ
神奈川県内の駅だったそうよ

飼い主の旦那さんが救急搬送されたのは階段から転落した駅の近くにある病院だったようでした。それから毎日、奥様が病院まで通っていたみたいでした。往復200km、大変だったと思います。私が付き添いだったとしたら、近所に宿を借りていたかもしれません。お金だってかかったと思います。そして「最初は人工呼吸器も着けていたけど外すことができた」と聞きました。それだけは良かったです。その代わり、今でも手・脚が不自由な状態なのだそうです。

脊髄損傷、知られたいとは思っていない

なつ
会ってほしかったかも

どうして伝聞調なのかというと、それ以来、旦那さんとは会っていないからです。先にも書きましたが、ご家族だってご本人だって、みじめな姿をさらしたくないというお気持ちだったのだと思います。きっと「どうしたの?」「なにがあったの?」と聞かれたくなかったのじゃないでしょうか。なので、ここから先は奥様が話している言葉の中から気付いたことを書いていく程度にしたいと思います。

退院・転院するにもお金はかかる脊髄損傷

なつ
お金はなにかとかかるわ

しばらくして(4か月目くらいだったかと思います)、ご自宅から20kmくらいの新しい病院へ転院となりました。医療搬送できる介護タクシーでストレッチャーのまま運ばれたそうです。もちろん、こういう情報も本人や家族から聞けてないです。奥様から「退院するのもお金がかかってね」という、言葉尻から類推していることです。いくらお金がかかったか教えてもらっていませんが、病院から転院するにも料金がかかるのかと、私も気づきました。

急患を断らない病院へ転院

なつ
普通の病院じゃあ頚髄損傷は受けてもらえないのよ

今度は、ご自宅から20kmの比較的新しい病院でした。その病院は、急患を断らないので地域では有名な病院だそうです。ということは、急性期医療に特化している病院という意味かもしれないと思いました。入院してリハビリを受けていらっしゃったようです。リハビリは「病院から退院しても生活に困らないようにする」のが目的だと聞いたことがあります。

生活がすべて作業になる脊髄損傷

なつ
PTはフィジオセラピストの略

作業療法士(OT)に教えてもらったのですが、生活すべてのことを「作業」と呼ぶそうです。なので作業療法士なんですね。患者さんにとっても、生活そのものが作業になっているのでしょうか。理学療法士(PT)と作業療法士の違いについて、私は知りません。ですが、同僚から「理学療法士は歩行の回復を目指しているのではないか」と聞いたことがあります。それが本当なのかどうなのかはわかりません。PTもOTさんもリハビリがうまくいくようにするために「なるべく早めにリハビリを開始する」と聞いたことがあります。

手術は「ばくち」だ

なつ
治療とリハビリをあわせて効果というものがあると思うの

知り合いの旦那さんがどのような入院生活を送られたかわかりませんが、そこで厳しいリハビリを受けていらっしゃったのだと思います。奥様のお話によれば「自分でできることは自分でする」ような気持ちもあったようです。ですが、その2番目の自宅から近い急患を断らない病院で、手が動くようにする手術を再度受けられたのに、芳しい成果はなかったようです。それが、その後の気持ちを下げたのかもしれません。

頑張れない手足のリハビリ

なつ
もちろん家族の理解や協力も大切よ

退院した後は、リハビリをあまり頑張っていないそうです。奥様が生活の中でリハビリできるようなちょっとした工夫をしているそうです(現在進行形)。携帯電話・ベッドに紐をつけて自分で起き上がれるようにする、そんなことを聞きました。

脊髄損傷で自宅へ帰れない

なつ
ケアマネでも難しい施設探し

奥様は昔、地域包括支援センターのケアマネジャーをされていらっしゃったらしく、自宅から近い退院した後の入所施設を探されていました。最近聞いたのですが、いまいらっしゃる施設は「サ高住」という分類にあたるそうです。私もサ高住なら聞いたことがあります。サービス付き高齢者向け住宅のことです。賃貸マンションで介護サービスがついている施設です。介護保険では、要介護認定3からしか入れないのに、要介護3でも入れないのが特別養護老人ホームと聞いたことがあります。どうやら、特別養護老人ホームはムリだったようです。

サ高住で脊髄損傷の療養

なつ
サービス付き高齢者住宅だからといって終の棲家にならないこともある

「サ高住」は最初からすんなり入れたわけではないそうです。「こんなに障害が強いならうちでは無理です」といわれたそうです。入った後でも、「方針が変わったので、もしもこのような介護が必要になるようなら受け入れられなくなります」といわれたこともあったそうです。ご家族にしても段差の多い一戸建てに帰ると介護どころではありません。施設が「終の棲家」になることを希望されていますが、そうなるかは誰にもわからないようです。

生活の工夫|脊髄損傷

なつ
このご家族の場合の工夫です

生活の工夫はときどき、その奥様から聞くことがあります。

生活の工夫
  • スマートフォンは操作できないので携帯電話にしてある
  • 自宅と子どもたちの連絡はワンプッシュでできる
  • ときどき施設内を歩いていたが、いまは手の運動もやっていないみたいだ
  • 頭はさえている、テレビを見て過ごしている
  • 必要なものをときどき、届けている

のだそうです。必要なものは「牛乳」だったり「食べ物」だったりです。電話がかかってきてもすぐに持っていけないので、時間ができたときにまとめて届けるそうです。お部屋が窓際(?)にあるそうで、受付を通らず窓から(?)渡すこともできるそうです。コロナの時期はそれが助かったといわれてました。

近所付き合いは得意だった

なつ
この旦那さんは、いまでも家族にとっては大切な役割を持っている

この旦那さんはご近所付き合いが得意だったそうです。ご近所の方にどのような話をされているのかわかりません。奥様が町内会の付き合いや、近所とトラブル対応(水が出たとか、掃除がどうのとか、はみ出しているとか、いろいろあるそうです)をされていらっしゃるそうです。今でも「頭脳はしっかりしている」旦那さんに相談して対応されているそうで、そういうのは「うらやましいな」と思いました。

私は家族に貢献できるのか?

なつ
役割が見当たらなくてもがっかりすることはないと思う

私は家族に何か貢献できることがあるのだろうか?「生きているだけましよ」と言われるだけでもがっかりしてしまう私ですので。

年金だって減っている

なつ
副業しているといざというとき困ることだってある

最近、年金が減ったそうです。奥様も年金受給年齢になったからだそうです。ご夫婦二人で合わせると増えるのかと思っていましたが、二人だと減額されてしまうのかもしれません。お金の話と言えば、最初の医療費がたいへんたくさんかかったそうです。高額医療費制度があるのでは?と、思っていましたが例外もあるそうです。

高額療養費制度なのに脊髄損傷の治療に役立たないこともあります

なつ
高額な医療費がかかっても、支払う上限が決まっているという制度

ちょうどその年度、同居しているご家族のかたが「例えば株、今だとビットコインとか」で、一瞬「大儲けしてしまったので、高額医療費の制度が使えなかった(使えたのかもしれませんが、高額の負担になってしまった)」のだそうです。ちなみに「大儲け」した株とかビットコインはプロでやっていたわけではないので、治療費を払っている時期に「大損した、まだ借金が残っている」状態になっているそうです。トホホですね。

まとめ|知り合いの旦那さんが階段から落ちて脊髄損傷、そして人工呼吸器も

ブログのタイトルに「脊髄損傷」を連発しましたが、知り合いの方を「脊髄損傷」と一言では言い表すことができずに、補足説明を少しさせていただくブログにしました。階段から落ちてご本人も困っていらっしゃると思います。ご自分を社会から消し去っていらっしゃる姿を申し訳なく思っています。ご家族は、何気ない工夫でご本人をサポートされていらっしゃいます。決して押しつけがましくならないようにされているように思いました。公的サービスも十分ではないですね。そんなことを思いました。

なつ
それじゃまた、バイバーイ
おすすめ記事