人工呼吸器でも挿管する場合としない場合があります。気管挿管をやめたら、どのような生活が待っているのでしょうか。行先が増える。空気がおいしい。匂いがする。食事がおいしい。おしゃべりができる。気管切開をふさぐことができる。普通の人にとっては全く普通のことです。普通にできる人にとって話題にのぼることもありません。どれができるようになるのか、すべてクエスチョン「？」ですが、想像を駆使して書いてみます。
人工呼吸器と挿管の違いは何ですか？
人工呼吸器は気管挿管する場合と、気管挿管せずにマクスやチューブだけで呼吸する場合があります。すべて、本当にこうなるのか疑問も残りますが、気管挿管を止めると、このようなことがいわれています（私も願っています）。マスクで済ますことができるのにこれをしない理由は、顔面変形や微細な空気漏れ、意外に面倒というマイナス面もあるようです。
- 行き先が増える
- 空気がおいしい・においがする・食事がおいしい
- おしゃべりができる
- 気管切開をふさぐことができる・病気になりにくい
- 災害時対応にもなる
挿管なしだと｜行き先が増える
旅行がもう少し、しやすくなるかもしれません。旅行に限らず、入院や入所、通院や通所、ベットからリビングに行くのも、やりやすくなるかもしれません。
リハビリテーション病院なのに「人工呼吸器のひとはムリです」と、いわれたことはありませんか？
私は、国立病院で聞いたことがあります。「ここに人工呼吸器のひとはいらっしゃらないです」。風邪で肺炎になっても「入院できません」といわれたことありませんか？
挿管なしだと｜空気がおいしい・においがする・食事がおいしい
気管切開して人工呼吸器に頼っていると、のど・口・鼻を空気が通らないのでにおいがしません。においがしなと、食事の味もわかりません（味はわかっても風味がわからないというべきでしょうか）。
潮風のにおい、さかなのにおい、深緑（新緑）のかおり。それだけではありません。カレーライスのにおい、コーヒーのかおり。
コーヒーと紅茶は茶色の濃さだけで判断しますが、障害をお持ちでないひとにも、この気持ちを体験してもらえるいい方法があります。インスタントコーヒーを紅茶くらいの色に薄めて飲んでみるといいです。私は貧乏学生時代にそうやって「紅茶なのかコーヒーなのか？」と友人に質問されたことがあります。
挿管なしだと｜おしゃべりができる
自由におしゃべりができることってすばらしいですね。人工呼吸器に合わせたりする必要もありません。私が自由におしゃべりできたとしたら何を話すでしょうか。もともと無口でしたから、黙ったままかもしれません。ニッコリ笑うくらいしかしないかもしれません。たまに「助けて！」「いやだ！」「くるしい！」「誰かきて！」と叫んでいるだけかもしれません。
電話をかけることが楽にできるようになるかもしれません。そうそう、思い出しました、歌を歌っていると思います。鼻歌を。
挿管なしだと｜気管切開をふさぐことができる・病気になりにくい
人工呼吸器には人工鼻・バクテリアフィルターがついていますが、それは私を守るというよりもまずは、装置を守るためにあるのでは？と疑ってしまいます（それは、錯覚です）。
自分の気管・気道・喉・鼻・口を使って、自分で痰をだせて、空気の加温加湿も自分でできる。私が病気にならないためにもともと備わっていた機能です。空気の出し入れさえできれば人工呼吸器は要らないのに。
ただし、気管挿管を塞ぐともう一度必要になった時、大変難しいことになるらしく、塞ぐ・塞がないは診てくださるお医者様にとってもたいへん難しい問題のようです。
挿管なしだと｜災害時対応にもなる
災害時は、装置のメンテナンスができなくなることも考えられます。予備の回路が不足するかもしれません。しっかり準備していても消毒液がない、水が出ない。意外なことで困るかもしれません。そして、電源ですね。バッテリー、電池。
世の中的にも人工呼吸器や人工透析が災害時に続けられるような取り組みが始まっています。それだけ深刻だととらえてもらっているのでしょうね。ありがたいことです。
まとめ｜人工呼吸器と挿管の違いは何ですか？
人工呼吸器は気管切開なしでも使うことができます。気管切開してチューブを入れることを挿管といいます。挿管（気管切開）しない場合はマスクで呼吸します。人工呼吸器から回復はできなくても、気切（気管切開）を閉じることができたらどんなにいいことか。そうなったとき、私の夢は「鼻歌を歌う」でした。
人工呼吸器から回復したとしても、手が自由に動くわけでも、どこかに歩いていけるわけでもありません。おなかの調子だって、キブンだって、調子悪いことはたくさんあります。本当のところは、全部ひっくるめて回復したいものです。
