人工呼吸器と自然呼吸の違いは、空気を押し込むか・空気を引き込むかです。そんなに大きな違いと思えませんが、人体にとっては大きな違いなのだそうです（お医者様：談）。このブログで何度も書きましたが、機械での呼吸は人体への負担が多いです。今回は、3つのインタビュー動画（文中にあります！）を参考にさせていただきました。
脊髄損傷の急性期から、リハビリ、社会復帰にいたるまでを一貫として治療する、日本で有数の専門施設です。
総合せき損センター
人工呼吸と自然呼吸の違いは何ですか？
総合せき損センターの整形外科医師によると、陽圧換気（人工呼吸器）によって肺高血圧症などを引き起こすこともあるそうです。鼻・口を使わない呼吸だと、湿り気や温度などで肺炎にもなりやすいようです。陰圧換気（自然呼吸）には、気づかない良さがたくさんあるようです。こちらは横隔膜ペーシングの話をしてくださっている動画ですが、人工呼吸器と自然呼吸の違いが分かりやすいのでお勧めです。
総合せき損センター第二整形外科部長 益田 宗彰 先生 YouTube動画
肺動脈の血圧が高くなる病気。肺動脈圧が高くなると、肺動脈に血液を送る役割を持つ右心室にも負荷がかかり、右心室が肥大・拡大し、最終的に機能が低下することで、右心不全という病気に進む。
総合せき損センター
総合せき損センターは福岡県飯塚市にあります。国内ではめずらいしい脊髄脊椎疾患を対象とした病院です。ベット数は150床ということですので、中くらいの大きさかもしれません。専門病院のなかでは大きいですね。手術件数はなんと年間800例以上もあります。ふつう利益重視の病院だと急性期医療だけだったりするものです。救命救急の初期治療から社会復帰までをずっと診ていただけるので、患者にはうれしい病院ですね。
入院当日から手術後も翌日から積極的にリハビリテーションを行っているそうです。西日本全体の患者をかばーされているので患者搬送ヘリポートもあります。
自然呼吸に近いペーシング治療中の患者さんの動画
横隔膜ペーシングの治療を受けられた患者のインタビュー動画もありました。この方は総合せき損センターで治療を受けられたそうです。人工呼吸器から徐々に横隔膜ペーシングの陰圧呼吸に代わっていけたそうです。吸引の回数が減ったとのことです。
このかたの情報ですが、24歳のときに交通事故で脊髄損傷（ C2 C3不全）になったそうです。2021年3月、25歳のときに横隔膜ペーシング治療を開始して（昼間だけ、夜間は人工呼吸器）、半年後の2021年9月からは夜間の横隔膜ペーシングもはじめられたそうです。その後、気管切開孔を閉鎖して2021年12月に自宅へ帰宅されたそうです。
横隔膜ペーシングで自然呼吸に近づけると陰圧呼吸のいい点が現れる
横隔膜ペーシングについては、別の記事を書いたのでこちらもご参考ください。
脊髄損傷で人工呼吸器を利用している方から、質問とそれについての回答されている動画がありました。横隔膜ペーシングを知っている人は少ないと思いますが、どうやって治療までたどり着いたのか、この動画から参考になる部分があります。
横隔膜ペーシングの研究者からも「人工呼吸器からの迅速な離脱により、より迅速なリハビリテーションが可能になり、患者に回復、自立、新たなより通常の生活様式のより良いチャンスを与えると同時に、コストを大幅に削減し、ICUのベッドを解放し、臨床スタッフが患者を診察する時間を短縮することができます。」また、
「患者自身の横隔膜を利用した自然な陰圧換気に患者を戻すことにより、ペーシング技術が平均余命の改善に関連している可能性があります。」この意味は、分かりにくいかもしれません。人工呼吸器を利用している脊髄損傷患者は、人工呼吸器を利用していない脊髄損傷患者よりも余命が短くなっている、ということのようです。
まとめ｜人工呼吸と自然呼吸の違いは何ですか？
脊髄損傷 (SCI)にはより自然な呼吸法が必要になる場合があります（たとえば、肺高血圧症とか）。陽圧 (強制空気) を使用するのではなく、体の自然な呼吸にできるなら、そのほうがいいに違いありません。そのために横隔ペーシングがあるようです。
