横隔膜と肋間筋が動けば息はできます。横隔膜ペーシングは横隔膜を動かすことはできますが、肋間筋を動かすことはできません。横隔膜ペーシングの関連動画を探してみました。手術は筋弛緩剤を使わない全身麻酔で腹腔鏡の穴を4箇所あけ、リード5本を植え込みます。2時間くらいで終わります。リードを入れ終わったら、体外にでているリードのコネクタを作成して帰室となります。こちらの英語サイトから情報をいただきました。ご参考までにどうぞ。Synaps Biomedical社 

りょう
手術はなんというか、怖いかもしれないなぁ

横隔膜ペーシングリード植え込み手術アニメーション

横隔膜ペーシングリード植え込み手術アニメーション
りょう
手術時間は2時間くらい

横隔膜ペーシングの手術を模式的に説明しているアニメーション動画です。手術の機器配置・術者の立ち位置・腹腔鏡ポート位置などの説明があり理解の助けになります。実際の手術でも出血はほとんどありません。2時間の手術を7分弱にまとめてあります。

横隔膜ペーシングのコネクタを作成するブロッキング

横隔膜ペーシングのコネクタを作成するブロッキング
りょう
コネクタブロックの作成手順ですね

ブロッキングというのは、体内から外に出したリード線に接続用のコネクタを作成することです。横隔神経ペーシングリード先端にピンを圧着して、それをコネクタブロックに押し込みます。動画を見ると、細かい作業で、まるで電気配線作業のように見えます。手術の最後にお医者さんがやってくださいます。

横隔膜ペーシングのコネクタを体表に固定する

横隔膜ペーシングのコネクタを体表に固定する
りょう
皮膚に固定します

手術の最後に手作り(笑)されたコネクタ(上記:ブロッキング)を皮膚に取り付ける作業です。ブラブラさせておくわけにもいかないので専用シールで皮膚に貼りつけます。このシールでかぶれることもあるそうです。ガーゼで覆って、その上から透明なシールを貼って、さらに保護します。入浴のときに交換が推奨されています。

スペイン語で横隔膜ペーシング装置の操作説明

スペイン語で横隔膜ペーシング装置の操作説明
りょう
装置は2台使います

スペイン語で、手術後に行う設定や測定の説明がされています。YouTubeの字幕を日本語にすると理解しやすいです。

電気刺激のタイミングをアニメーションによって説明してあります。リードの本数(4本+1本)、体外のコネクタを皮膚に固定するためのシール(コネクタホルダー)、プログラマー(クリニカルステーションと呼ばれています)によるパラメータの調整、体外式のペーシングシステムが2台(日本語では患者キットと呼ばれています)の説明があります。

電池交換についても説明があります。横隔膜ペーシングシステムの液晶画面の説明では、*(アスタリスクマーク:ペーシング中で吸気時間)と、ー(マイナス:休止中の表示で呼気時間)、刺激電流が流れていないときはX(バツ:リードや患者ケーブルの異常)が表示されます。

動画の作者は、動画の最後に登場する柔道着に黒帯を締めている女性?なのかどうかは不明です。

横隔膜ペーシング手術動画

横隔膜ペーシング手術動画
りょう
手術の流れが理解しやすいです

こちらは日本語の字幕付きの手術動画になります。1分30秒のあたりで 皮膚から出る電極リードを皮下へ潜らせています(皮下トンネル)。皮下トンネルは映像から見るところ10cm以上あります。こうすることで体外から菌が体内(特に腹腔)へ入り込まないようにしているのかもしれません。横隔膜に植え込むリードは4本ですが、皮下に1本不関電極(アースのようなものか?)を植え込むのでリードは合計5本です。

体外のコネクタ作成風景も映っていますが、モック(模型)で説明しているだけでした。こちらの動画は、年齢制限があるようですので、YouTubeで見るボタンからご覧ください。実際の手術場面に沿って、字幕が入っています。合計2分09秒の動画です。

手術の動画は、こちらのプレゼンテーション資料の中にも抜粋して掲載されていました。ご参考までに

YouTube動画

横隔膜ペーシングリードをデリバリーツールに装填

横隔膜ペーシングリードをデリバリーツールに装填
りょう
針の格納ができます

この動画は横隔膜ペーシングリードをどのようにして横隔膜まで持っていくのかを示した動画です。電極デリバリーツールというものに横隔膜ペーシングリードを装填しています。4本のリードを横隔膜に植え込むので4つ用意しておきます。1分20秒の動画です。

横隔膜ペーシングリードを植え込む前のマッピングテスト

横隔膜ペーシングリードを植え込む前のマッピングテスト
りょう
横隔膜の下側はこんなふうに見える!

横隔膜ペーシングリードを横隔膜に着ける前、マッピングという作業を行います。マッピングはどこを電気刺激すれば最大の効果が得られるか、実際に電気刺激してみて探す作業のことです。動脈・静脈・神経が映っていますので、それを目印にしています(それらが集まっている場所がねらい目)。刺激には単発パルス刺激と連続パルス刺激があり、単発パルス刺激だとしゃっくり、連続パルス刺激だと横隔膜筋が収縮します。1分13秒の動画です。

マッピングで横隔膜ペーシングリード植え込みに不適当だった場所

マッピングで横隔膜ペーシングリード植え込みに不適当だった場所
りょう
どこに刺してもいいわけではない!

マッピングで横隔膜ペーシングしても横隔膜の収縮が弱い場所があって、そこには横隔膜ペーシングリードの植え込みをしません。マッピングでは必ず横隔膜が収縮する場所を選定しています。単発パルス刺激で調べた後、連続パルス刺激でどのくらい収縮するか調べています。単発パルス刺激は、腹腔内圧の計測が同時に行われていて、その数値を参考にしています。43秒 の短い動画です。

ストレインリリーフブートの補修作業

りょう
ストレ?長い名前です!

体表面に張り付けるシールと体表面に出た横隔膜ペーシングリードのコネクタ部分の説明がありました。コネクタ部分をカバーしているものをストレインリリーフブートといいます(ブートは履物のブーツのような覆うものと同じ意味ですね)。透明なシリコンラバー製で中にリード線が5本見えます。4本は横隔膜の前後左右につながっています。このストレインリリーフブートはリードのコネクタを保護している役目なので、いざというときに補修ができるようになっています。動画は4分09秒です。

手術前の神経伝導検査

手術前の横隔神経伝導検査
りょう
神経が生きているかどうかをテストしています

横隔神経伝導検査は日本国内で手術を行う場合に事前の適応判断で調べることになっています。検査なので体表面からできるようになっています。何を調べるかというと、横隔神経が生きているかを調べる検査です。脊髄損傷は、脊髄にある神経が損傷を受けています。脊髄からの出口にシナプス(神経節:神経と神経の結合部分)があり、出口よりも末梢側が損傷していると、その神経は使えません。それが横隔神経(末梢神経)のことがあります。横隔膜は筋肉なのですが、筋肉を電気刺激しただけでは横隔膜全体に刺激が伝わりません。横隔膜を刺激した電気信号が、横隔膜全体に張り巡らされた横隔神経を伝って横隔膜全体の筋肉収縮をするからです。3分43秒の動画です。

ペーシングリード・デリバリーツールの分解

りょう
分解すると組み立てるのも大変かも

電極リードデリバリーツールというのは、横隔膜に植え込む電極リードを腹腔鏡のポート(体表面に明けた小さな穴)から、横隔膜に植え込むため(デリバリー)の道具(ツール)のことです。動画で観ると意外に大きいことに気づきます。それだけ複雑な操作に対応できるように工夫されているのでしょう。部品もたくさんあります。

ペーシングリード・デリバリーツールの組み立て

りょう
やっぱり大変そう

この電極リードデリバリーツールを分解したり組み立てたりする理由はなになのでしょうか?メンテナンスということも考えられますが、どうやら手術前の器具の洗浄・滅菌のためです。手術で使う用具や器具(鋼製小物とか手術器械とも呼ばれています)は、汚れを落とし滅菌して手術で使われます。装置や器具内部まできれいにしておかなければならないから分解と組み立てが必要になります。

肝心なところ(ニードルピボットのギアとシャフトの中に入っているギアの向きを合わせる方法)が、わからないです。動画の外で何やら作業をしています。そこを映してほしかった。

滅菌:器具に存在しているすべての微生物(無害なものも含める)を殺滅または除去することです。人体を無菌状態にすることできないのですが、手術で使う器具などに対して無菌に近づけることを指します。滅菌とは「微生物の生存する確率が 100万分の1以下になること(日本薬局方)」です。

日常の横隔膜ペーシング使用動画

日常の横隔膜ペーシング使用動画
りょう
動画で説明されていて安心

横隔膜ペーシングのコネクタ接続方法、表示画面の情報、皮膚の清拭、電池交換の方法、異常発生時のアラーム音のことが話されています。バージョンの古い装置のようで表示1234の下にA/B/Cなどの文字が現れるようです。最新型では1234の下に *(アスタリスク:ペーシング中) ー(バー:ペーシング休止中) X(バツ:リードなどの異常抵抗値を確認)という表記になります。また、電池はリチウムイオン電池のみを使ってくださいとありますが、最新型ではアルカリ乾電池も使用可能になっています。

まとめ|ペーシングリード植え込み手術動画を探してみた

ペーシングの手術動画と手術関連動画を探してみました。手術は筋弛緩剤を使わない全身麻酔で腹腔鏡の穴を4箇所明けてリードを5本植え込みます。2時間くらいで終わります。リードを入れ終わったら、体外にでているリードのコネクタを作成して帰室となります。手術の後2日で退院する場合もあるそうです。

なお、横隔膜ペーシングは日本国内で保険治療が受けられるそうです(脊髄損傷の場合)。こちらのサイト(横隔膜ペーシング紹介サイト)から情報をいただきました!

りょう
それじゃまた、バイバイ

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